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紺青の深淵、その底へ。
翌日、紹介された自宅近くの私立総合病院へ向かった。待っていたのは、MRIが示す冷徹な事実だった。「前十字靭帯断裂」。医師の言葉に、わずかに残っていた「何かの間違い」という淡い期待は、霧散した。しかし、そこに小さな救いがあった。内側側副靱帯は損傷のみ、半月板は問題なし。複合損傷ではなかったことは、不幸中の幸いと言えた。
専門医の存在、そして即時のリハビリ。
その病院には、前十字靭帯の再建手術を多数手がけるスポーツ専門医が在籍していた。宣告を受けた病院で、別日に行われる詳細な診断を受けるよう勧められた。さらに、医師から即時のリハビリ(理学療法)を促された。手術に向けて、可動域を確保し、筋力を維持するためだという。その日は、リハビリステーションで夕方まで過ごした。
5月の約束。未来への航路。
別日、スポーツ専門医の診断を受けた。 所見は、救急外来での見立てと完全に同期していた。そして、手術の日程についての説明が行われた。手術は、5月28日、木曜日。 医師はその日付を提示した。内出血に伴う腫れがおさまり、十分な可動域が確保できていること、それが重要である、と。
「手術をすればまた、元通りに戻りますか」
私の質問に、医師は力強く答えた。
「戻ります」
これで、未来への航路が定まった。 5月までの日々は、この手術に向けた準備期間となる。私は元に戻る航路図を手に入れた。深淵から浮かび上がるための長い長い航海の始まり、そんな気分だった。